インフォメーション

校長徒然2026.01.23

それぞれの想い ~京都ある老舗和菓子屋のお話~

 大阪の女性が京都の老舗和菓子屋に嫁いだ。そして、傾きかけていた店を立て直すため、接客のひとつひとつに見直しを図った。例えば、お釣りは手渡ししない、お客様を店先までお見送りするなど、これまで証券会社や教員として働いた経験をいかして(女将さん)として奮闘した。その結果、新規のお客さんが店に来てくれるようになった。
 ある時、遠方から披露宴で是非とも引き出物として生菓子を出したいというお客さんの依頼があった。生菓子の消費期限は翌日までという暗黙の了解があったので、そのことを説明し、何度かお断りをした後、おかみさんは、お客さんの熱意に絆され、思わずその依頼を受けてしまった。職人さんには黙って‥。
60人分の生菓子をつくり終え、配送という段になって、気持ちの緩んだおかみさんは、労いの言葉とともに、ついそのことを職人さんに言ってしまった。すると、職人さんは血相を変え「これをお客様にお出しすることはできません。」配送の時間が迫る。長い沈黙の後、職人さんは「つくり直させてください。最高の状態でお客様にお届けするのが私たち職人の仕事ですから。」と言ったそうな。
 「お客様第一主義」という発想がある。おかみさんは(希望を叶えてあげたい)、職人さんは(いかにお客様のお口まで良い状態でお菓子を提供するか)を想った。それぞれに想いがある。それらがクロスオーバーすることで、なにかが生み出されていく。そんなお話。
 【追記】このお店は、現代風スイーツの店も出し、人気を博している。それをつくっているのは、職人さんではなく店員だそうな。

一覧へもどる